夫婦喧嘩は犬も食わないって言いますよね。
犬は慌てて隠れます!
久しぶりに夫婦喧嘩。
「もう、一緒には暮らせないな。出ていく。」ダーリンの常套句。
「出ていくなら出ていけばいい。どこか行く当てがあるの?」
「のりちゃんち。」
のりちゃんは、ダーリンのいとこ。
毎年、お米やお餅を送ってくれるダーリンの心優しいいとこ。
年に数回の電話くらいで、コロナの影響もあってここ数年会っていない。
ダーリンが80歳だからのりちゃんだって良い歳になっているはず。
あちらはご主人もご健在で一緒に家庭菜園を楽しんでいらっしゃる。
ダーリンは畑仕事は出来ない。
掃除も出来ない。
洗濯も出来ない。
のりちゃんの役に立つことは何にも出来ない。
一日二日はお客さまとして大事に扱ってくれるだろうけど、ずーっと居座られたら絶対に迷惑なはずなんだ。
ダーリンは一体全体何を考えて「のりちゃんち」に行くって言うんだろう。
のりちゃんは優しいから何もできないダーリンを可哀そうに思って置いてくれるとでも本気で思っているのかしら。
のりちゃんは優しい。
優しいからこそ、迷惑をかけちゃいけないんだよ。
ダーリンのことを置いてあげて欲しいってのりちゃんはのりちゃんのご主人にお願いしちゃったりして、ご主人は嫌だろうから、ダメだよと言って、ダメだと言われたことをダーリンに言えないからのりちゃんは困っちゃってご主人と喧嘩しちゃうかもしれない。
そんなことくらい、ちょっと考えればわかるでしょ。
のりちゃんなら何とかしてくれるに違いないと考えていることに腹が立つ。
ダーリンに「バッカじゃないの!!!」と大声で罵ったら、るるくんは慌てて椅子の下に隠れちゃった。
大声で怒鳴り合う私たちがよっぽど怖かったんだろうな。
るるくんの様子を見て、私もダーリンも怒鳴るのを止めた。
私もダーリンも煮えくり立った怒りを鎮めるために口を利くのを止めた。
その時はずーっとずーっと口なんか利いてやるものかと思ったのだけれど、口を利かなかったのはほんのちょっと。
「るるが可哀そうだね。」
「るるはびっくりしたんだろうね。」
夫婦喧嘩は終わった。
夫婦喧嘩は犬も食わない。
夫婦喧嘩をとりなすのは犬なんだね。